Takayama Chasen
一碗の茶と、一献の酒。
日本のもてなしに息づく、二つの文化。
茶と酒は、古くからひとつの席で出会ってきました。正式な「茶事」では、どの流派——三千家や武家茶道など——においても、共通して懐石の際にお酒がふるまわれます。濃茶をおいしく、胃に負担をかけずに味わうために料理をいただく。その懐石のひとときに、盃がそっと添えられるのです。
お酒の出され方や作法には、流派ごとの趣きがあります。一般には「三献」といって三度に分けて盃を交わすのが基本とされ、その日の趣向やお客さまに合わせて、亭主が臨機応変にととのえます。酒を注ぐ銚子(ちょうし)の蓋ひとつをとっても、木地蓋・焼物蓋・共蓋と使い分けられ、細部にまで心が配られています。
茶を点てる茶筌も、席に添える一献も、もてなす人の心づかいから生まれるもの。一碗の茶と一献の酒は、同じ「一期一会」のひとときを、静かに支えています。